【上げ馬神事】


●多度大社の上げ馬神事の続報


 2023(令和5)年5月4、5日に再開された多度大社の上げ馬神事で、一頭の馬が、前肢の骨折で予後不良となり、安楽死の処置がなされました。このことが、ネットを通じて知らされ、上げ馬神事を知らなかった多くの国民が、当会のホームページの記事などを検索してくださり、上げ馬神事の実態を知っていただきました。

 さらに、海外のメディアを含め多くの報道機関から、上げ馬神事について取材を受けました。メディアは過去には、上げ馬神事の成功した場面ばかり報道していましたが、この度は実態画像と批判記事を報じました。それ故、批判、非難、罵倒などの他、上げ馬神事の中止、廃止を求める声が集中砲火の如く、多度大社と三重県に浴びせられました。

 

 その結果、多度大社は、上げ馬神事を改めると表明し、三重県の指示のもと、「多度大社の上げ馬神事の在り方検討会」を開催することにしました。当会の代表をしている私(青木)が、外部委員の一人として、この検討会に参加しました。検討会は、2023(令和5)年10月16日、11月14日、12月20日の3回開催されました。

 

 検討会では、全国各界からの様々な意見などの提示や委員からの提案が出され、県教育委、員会も発言し、動物愛護管理法を守る、人馬の安全、伝統行事を守り神事を見直すことが確認されました。最終的に、外部委員全員は、「上げ坂の傾斜を緩くし、壁をなくすことを要望する」ことで一致しました。これを受けて、多度大社側が決めることであるとして閉会しました。

 後日、三重県から、多度大社と御厨は、坂上の壁を無くすことを決めたとの連絡をいただきました。

 

 なお、猪名部神社は、今年の上げ馬神事を行わないと決定し、その後につては検討するとのことです。  

 

※過去を振り返って思うこと

 2010(平成22)年に、馬虐待行為者8名を動画撮影して桑名署に告発し受理されましたが、検察庁が、嫌疑不十分として不起訴にし、裁判所の判断を仰ぐことが出来ませんでした。この動画を見た子供たちは、「馬が可哀そう」と言うのに、大人の検察官は、そのような判断をせず、馬を虐待しても罪に問えないとしました。それ故、馬を虐待しても罪に問われないと判断され、虐待がエスカレートしたと思います。

 

 2016(平成28)年に、上げ馬神事の実行組織を告発しましたが、「動物愛護管理法」の虐待罪は、刑事罰なので、個人が対象となり団体や組織は対象外と言うことで、告発状が受理されませんでした。「酷使」は虐待であるとされますが、阪上の垂直壁に向けて馬をけしかけ挑ませるのは少年騎手ですから、少年騎手が、告発の対象となってしまうので、当会は、告発を避けてきました。

 

 「動物愛護管理法」は、国会議員全員が賛成(全会一致)して成立した法律であり、国民の多くが認めているものと判断できます。しかし、検察庁の対応は、このことを全く考慮に入れず、馬の虐待を不問にしました。このことが、上げ馬神事改善の大きな阻害因子になってきたと認識しており、検察庁も批判の対象にすべきであると考えます。

 

 上げ馬神事が、馬虐待文化を完全に排除し、和装束、和馬具(和鞍、和鐙など)にこだわって、優雅で格好よく、神聖で、人馬にとって安心・安全な祭りになり、誇りある無形民俗文化財として、未来永劫、継続して開催されるよう期待しています。イギリスの騎馬行列の如く馬にやさしい祭りを目指してもらいたいと願うばかりです。

 

 (2024年2月7日掲載)

 

 

 


虐待のない、上げ馬神事へ


これまでの当会の取り組みや上げ馬神事に関する詳細は こちら からご覧ください。

 

 

 

 


虐待のない「上げ馬神事」(三重県)を願う


■上げ馬神事とは…

上げ馬神事は、三重県の無形民俗文化財に指定され、800年以上の伝統行事と称し勇壮なお祭りとしてマスコミでも紹介されています。

毎年、町内各地区から選ばれた少年が、わずか1ヵ月程度乗馬の稽古をしただけで、猪名部神社では4月の第一土・日曜日に、多度大社では545日に出場します。

 

この祭りは、約100mの助走路先の登り坂の頂点にある垂直な高さ約2m(中央を凹ませて約1m70㎝に)の壁を超えるもので、その成否に一喜一憂する観光イベントとなっています。

 

しかしながら、この壁の高さは国際馬術連盟の定めている固定障害の安全基準をはるかに超えたもので、馬の能力を無視した構造のために骨折等の故障馬のみならず怪我人が毎年出ています。

 

映像等は you tube   等で 「上げ馬神事」と探すことで見ることができます。  

 ■ アンケートでは・・・ ■

(1)警察の摘発に賛成か

   42%←YES    NO→58%

 

(2)伝統行事に動物愛護の配慮は必要か

   71%←YES    NO→29%

 

(3)動物愛護管理法の動物虐待の定義はより具体的にするべきか

   80%←YES    NO→20%

 

産経ニュース 「e-アンケート」 上げ馬神事と動物虐待(2011/8/4)より>

 

 

 


神事での馬への暴力行為


■神事での馬への暴力行為(虐待)

 

国際馬術連盟の安全基準を無視し、常軌を逸した固定障害を越させるために、

たった1ヵ月程度の乗馬の稽古で、大型のサラブレッドを制御することが

できない少年を騎手として乗せ、またぶっつけ本番を成功させるために、

馬を過剰に狂奔させ爆走させる必要があるからか、ドーピングを含め、

考えられる様々な虐待的暴力が行われました。

 

そのため非難されたことから一部は改善されましたが、今でも県職員や県警

警察官がいる前で、これ見よがしに暴力(虐待)が平然と行われていることが

確認されました。

●棒で腹、下腹部、尻を連続して殴る。(ミミズ腫れができる)

●ロープを振り回して腹や尻などを叩く。

●腹や下腹部を蹴り上げる。また急所である睾丸を竹竿等で叩く。

●馬の口のハミを過剰にシャクって興奮させる。

●法被を振り回して脅す。大声で怒鳴り威嚇して興奮させる。

 

これらの暴力は、集団で行い、馬を過度に興奮させ、馬を精神的に追い込み、

恐怖に陥らせ狂奔突進させることで壁を超えさせようとします。

また、これらの暴力行為は、馬繋ぎ場から移動した後、上げ馬本番前の誘導路

から、少年騎手が騎乗する場所まで執拗に行います。

 

■その他の問題

 

●選ばれた少年騎手は、1ヵ月程度の乗馬練習で、馬を制御しなければ

 ならない。

●事前・事後に、馬の状態を調べるための獣医師による馬体検査があるか

 疑問である。

●骨折等に陥った馬は、診察を受けずに運び出され、その後の処遇は不明

 である。

●骨折や外傷等で廃用になった馬の数は、全く不明で記録されていない。

●県職員や多数の警察官がいるが、馬に対する暴力(虐待)への積極的介入は

 認められない。

●上げ馬失敗馬の転倒などで、坂に並ぶ少年達が巻き込まれて怪我をする

 危険性がある。

●興奮して暴れる馬を制御する際に、関係者が巻き込まれて怪我をする。

●これまで、観客及び関係者に重軽症者が多数出て、救急車で搬送されて

 いるが、いまだ適切な対策が取られている様子がない。

●祭事関係者の多くは、馬への暴力を黙認し、中には率先して暴力を行い、

 暴力をあおる者がいる。

 

 

 


私たちの願い・要望


■改善に向けて

 

※ 関係法規に則り、馬への暴力行為(虐待)を一切行わない。

※ 走路先の上り坂の傾斜を緩やかにする。

※ 壁の高さを1m20㎝以下にする。

※ 壁を垂直や逆傾斜(オーバーハング)でなく、緩やかな順傾斜にする。

 (猪名部神社は順傾斜にした)

※ 事前に、専門獣医師による馬体検査を行い、問題のある馬を使わない。

※ 充分に訓練を積んだ馬と騎手で行う。(できれば一定の基準を設ける)

※ 未訓練の競馬の引退競走馬を使わない。

※ ドーピング検査のための採血及び採尿を義務づける。

※ 騎手の乗馬技術の向上と使用馬の固定障害飛越訓練を充分に行う。

 

 

 


現在の状況


こちら にこれまでの経過と詳細について掲載しています。